特集

南砺伝統の技

ゆっくり育まれた伝承の技が、まちに息づいて。

南砺市には、豊かな自然と先人の知恵で育まれてきた技があります。とくに五箇山の和紙、井波の彫刻、城端の絹織物が代表的で、確かな技術だけでなく、歴史をたどることで、また新しい魅力に出会うことができます。作品や体験を通して、南砺市に受け継がれてきた伝統の技を心ゆくまでお楽しみください。

 

 

五箇山和紙

五箇山地域は、平家落人の里として古くから都の文化が伝えられていました。五箇山和紙もそのひとつ。江戸時代、平地域で作った中折紙が、加賀百万石二代藩主前田利長に贈られたという記録が残っています。以来、五箇山和紙は、加賀藩の手厚い保護を受けながら発展し、良質和紙の産地として今日に至っています。 五箇山和紙は、積雪2メートルに及ぶ気候風土と、これに耐えぬく素朴強靱な民情から連綿として今日に受け継がれ、昭和63年に越中和紙と総称して国の伝統工芸品に指定されました。一層優雅な風格をもつ生漉楮紙や加工品は全国の有名作家や文人墨客の友として親しまれています。


井波彫刻
欄間・衝立・パネル・天神様・獅子頭に代表される置物などの井波彫刻。 楠・ケヤキ・桐を材料とし、荒彫りから仕上彫りまで200本以上のノミ、彫刻刀を駆使します。井波彫刻の起こりは、過去に幾度も焼失した井波別院瑞泉寺がその都度再建されてきたことに深くかかわっています。宝暦・安永年間(1763~1774)の瑞泉寺再建の折、京都本願寺の御用彫刻師前川三四郎が派遣され、井波拝領地大工がこれについて習ったのが井波彫刻の始まりとされています。 時代の流れとともに豪華さを誇った寺社彫刻から、現在は民家の室内彫刻へと移り変わり、なかでも住宅欄間はその主力となっています。名工の子孫によって受け継がれ、培われてきた「井波彫刻」の高度な技術は、全国一の規模を誇るようになり、昭和50年には国の伝統的工芸品に指定されました。平成5年には、井波彫刻総合会館が完成し、館内では、220年の伝統を誇る木彫刻技術の粋を集めた作品200点を展示販売。


城端絹織物
江戸時代には五箇山などで養蚕された繭を城端で加工し、生糸を取り出し、質のいい絹織物として加賀藩に納めていました。やがて「加賀絹」として京都の絹問屋と取引され、江戸・上方に大きな需要を生むこととなりました。明治時代になると、約9割の家庭に手織機が置かれるようになり、町のあちこちから機織りの音が聞こえてきたといいます。 そんな町を象徴する建物として昭和3年に建てられたのが城端織物会館は、平成15年に改修し、城端絹織物を現代に伝える新たな交流施設として「じょうはな織館」として生まれ変りました。館内には、ギャラリーとオリジナル手織製品を販売するショップ・喫茶室がある他、機織体験もできます。30分から5時間までの7コースがあり、初心者でもインストラクターが丁寧に指導してくれるので、安心して体験できます。